ファームさきくませ -くりやまさん家のコシヒカリ-

千葉県四街道市でコシヒカリを作っている水稲農家です。 現在はコシヒカリの他、飼料米や麦を扱う穀物部門。 さらに、栗やタケノコなどの山林作物の他、剪定・伐採・特殊伐採を行う山林部門を構えています。 日々のことを書いていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

TPP

TPPについての私見

今日のニュースで

TPPで関税撤廃95%、重要5項目は3割

というTPP関連の話が載っていました。
正直な私の感想としては以前にも書きましたが

農業従事者も高齢化している。
その為、農業従事者の減少が想定される。
故に、今後生産力の大幅な低下が考えられる。
つまり、日本は外部に食料を求める必要が出てきている。
TPPへの参加は意味がある。


今年のはじめ政府は食糧自給率目標の引き下げを決定していることからも、個人的には納得感が高い。

食料自給率目標、45%に引き下げを閣議決定

ただ、一方で

 安ければ海外のものを買うよ♪

って人の方が多いわけで、僕たち農家も考え方を変えるべきなのでは無いかと思う。
TPPが有効に機能するのならば、輸出も当然にしやすくなる。

例えば、ボクが過去に輸出を考えたインド(TPP不参加)は、米の輸出量世界1位=戦略的輸出産物のため

 輸出は無理ですよ

とジェトロの方から丁寧に諭されました^^;
他にも、日本の農産品に対する輸入障壁は非常に高いけれど、それが低くなるわけでもあります。

漫画「銀の匙」の作者 荒川弘 さんは「百姓貴族」の中で

消費者様の「美味しいね」の言葉が聞けるから農民はがんばれるのですよ・・・
でもね・・・

 牛乳って飲んだら太るんでしょ
 野菜もキライいらない

 お金払ってんだから給食に
 「いただきます」
 なんて言わなくていいでしょ

さすがにこんな話を聞くと
食糧供給ストップしてあいつら飢え死にさせたろかいと思います♡
 
なんて話をしています。
もちろんこの部分だけを取り出せば

 なにを!

と思う人もいるかもしれない。
けれど、需用者と供給者の間にはやっぱり緊張関係も必要だと思う。
だから、僕たちは日本人だけでは無くて世界を相手に仕事をするべきだと思うんです。

 米国のお米が入ってくれば安くなるぞ!

なんて言っていますが、ほとんどの先進国では農産品に輸出奨励金というのが出ています。
過去には、日本のお米でも輸出米は飼料米と同様の取り扱いがなされていました。
実際、僕らが売る値段っていくらくらいだったと思います?

 1kgで30円しなかったんですよ

しかも、その売値は検査費でチャラになっちゃうしw
で、それを埋めるための交付金が出ていたんです。
なぜだか今は、その制度に輸出米は入っていないのですけれど、この辺りは政治的なからみが有るのでしょうね。

ただ、ゆくゆくは日本もこういうこと真剣に行うんでは無いかと思っています。
特に、お米は世界全体で需給が逼迫しています。
国内で長粒種を作付けしている人達もいますので、十分面白いことになるのでは無いかなと。

とはいえ、こんなエラソーなことを書いていますが、まだまだひよっこ過ぎて農協様に頭上がりません^^;

 

TPPに関する個人的な見解

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   田圃開放日 9月27日(日)15:00~
    
お米の注文はこちら(売り切中)
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さて、先日の新聞他、様々なメディアでTPPの話が大きく取り上げられました。








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もちろん、不安が無いと言えばウソになります。
仮に10万トンとなれば、農地面積に換算すると約1~1.2万ヘクタール。
日本にある田んぼの面積は約250万ヘクタール。その5%程度を外国に解放するということになるのですから当然と云えば当然。


でも、考えてみると結構合理的な話かもしれません。

日本国内の田んぼの面積は作付けベースで毎年1万ヘクタール減少している(※)。
農業就業者の平均年齢は平成12年の61歳から平成26年66歳へと上昇している。
主食米の供給は昭和59年の1200万トン弱から平成26年には850万トン弱まで減ってきている。

※:主食米の作付け面積は平成21年以降160万ヘクタール弱で推移している。作付け全体では250万ヘクタール弱。



各地で大規模化が図られつつあるけれども、高齢の就業者が退出することが想定される。
また、就業者数でみても平成2年の約300万戸から平成22年で160万戸まで減少しており、特に専業農家の減少率が大きい。その為、高齢化に伴い兼業農家のさらなる減少が考えられる。全ての退出者の耕作地を専業者が引き継げるとは考えられないため、先々で大きく作付面積は減少すると考えられる。
主食米以外の作付面積が減ってきていると云うことは、主食米以外を作付けする大規模農家(専業農家)の伸びが多くないことを裏付けるといえるだろう。

そうすると、米の需給はどこかで逼迫すると考えられる。
世界規模で観ると水稲の需給は逼迫しており現在在庫率は安定的に減少している。
そうした中で、一定の主食米の確保を図るためには今回の米の輸入枠の確保は意味のある行為と考えられる。


という結論です。
もちろん、安価な海外米にシフトすれば良いという話もありますが、主食(主たるカロリー元)を海外に見いだすことは、安全保障の面でリスクを抱えることになります。つまり、この日本が、日本という枠組みを維持するには、自国での主食の生産は絶対に必要なものであるといえます。
なので、個人的にはTPPによって主食米の輸入枠を一定量増やすことは国にとって益がある。そして、生産者は今は厳しいけれども、どこかのタイミングで十分産業として維持出来ると考えています。


参考文献
・公益社団法人米国安定供給確保支援機構 『水稲うるち米主要品種の作付比率の推移』
・農林水産省統計部『作物統計』他

 
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